剣と魔法と学園モノ。2(PSP)
PSPの3DダンジョンRPG、「剣と魔法と学園モノ。2」の雑感です。 記事の性格上、ネタバレなどを含む可能性があります。
システム
「剣と魔法と学園モノ。」の続編。 前作は某ゲームのソースコード丸パクリというトンデモな話がありましたが、今作には「新規学科の追加」「魔法を回数制からMP制に変更」などオリジナルにしようとしている感。
そして肝心のゲーム内容といえば、
授業をしない学園!
とかくワンパターンなトラップ!
道を歩いていただけで全滅するクリティカルなバグ!
パクりをやめてオリジナル(?)を作ったたら退化している気がするんですが、気のせいですか?
まず、トラップがひどい。 いきなり序盤のダンジョンで「アンチスペルゾーン(魔法効果解除)+ディープゾーン(浮遊効果がない場合即死)」という、虎の子とも言うべきデストラップが「ボス戦の直前に」仕掛けられています。 序盤に仕掛けていいトラップではない。
ダンジョンゲーにおいてはトラップの多彩さ・いやらしさなども楽しみのひとつにはなると思うのですが、上記の罠が序盤に仕掛けられており、かつ前作よりも浮遊装備が手に入りやすいこともあり、「もうなんか浮遊装備最初から付けてればいいんじゃね?」になりがちで、結果として「ショック(浮遊効果がない場合ダメージ)」「ディープゾーン」あたりの罠はトラップとして機能しないレベルになっています。
そして、おそらくそれも意図しているのでしょう。 「ショック」でダメージを与えることを諦め、どのダンジョンにも「部屋と部屋の間など、細い通路にターンエリア+ショック壁」というトラップが頻出。
ダンジョンごとにグラフィック以外の個性が特にあるわけでもなく、最初から最後まで似たようなダンジョンを歩いているだけ、という感が抜けません。
次に、バグがひどい。
通路かと思って入ったら「いしのなか」。 滑る床で壁を貫通して「いしのなか」。
「マップを歩く」程度のデバッグすらしていないのでしょうかとさすがに言います。
個人的にもっとも改悪と思われる内容が、「キャラメイク時の種族による学科制限」です。 (しかも、この仕様、説明書に明記されていません。フェルパー専用学科「ビースト」の説明文から、なんとなく鑑みるしかない程度です)
説明書に「魔法系に向く」と明記されている種族ノームが、種族限定学科「錬金術師」以外の魔法系学科に就くことが出来ないというトンデモ仕様、さすがにどうかと思います。
他にも
- ラグナロクの性能は変化しないままMP制になりラグナロク無双に拍車
- 魔法選択はステータス画面では『LRでキャラ切り替え』戦闘画面では『LRで魔法分類切り替え』となり非常に戸惑う
- 下キーはバックステップのはずなのに、ターンになる場合がある
などなど。どこから仕様でどこからバグなのかは知りませんが、ちょっと目に付く部分が多すぎるかなあ、という印象です。
グラフィック
今作で「学科」×「種族」の掛け合わせのイラストになりました。 個人的には各種族「戦士系」「魔法系」みたいなイラスト数種から選べればいいなぁくらいの感だったのですが、うーん。
サウンド
ダンジョン内で音楽ナシなので音楽の印象は相変わらず薄いです。 あとクロスティーニ学園の音楽がプツプツ切れるのは、仕様なのかなんなのか。
シナリオ
先に、私が個人的に「ととモノ。」のイベントに馴染めない、ということをお断りしておきます。 どうしても「周りの人たちが勝手に騒いでいるだけ」「NPCは基本何もしないくせに、なにかとNPCが介入しすぎ」というイベントがしっくりしないのです。
まず、学園なのに授業がありません。前作にはあった、学園の人物との雑談すら出来ない。 「学校間の交流が」云々の名目すらない。 まずこの時点で「学園モノ。」ですらなくなっている感あります。
前作の出来事を下敷きにしている部分はかなりあるので、今作から入る場合は留意点にはなるかなと思います。
まとめ
正直「誰のために作ったゲームなのか判然としない」という印象です。
「キャラメイク時のボーナスを緩くする」とか、「魔法を多くのRPGで使われなじみ深いであろうMP制に変える」など、「ダンジョンRPG初心者向け」の色を強くしたのでは? と思われる部分はあります。 一方で「前作NPCの登場など、前作プレイヤーに向けた演出が多い&前作プレイヤーはまずダンジョンRPG初心者ではない」という、結局なにを見ているのかが分からない感は拭えないところ。
一部システムを緩くしたところで、後半の理不尽とも言うべき敵の強さには変わりませんし。
もし続編が出るのであれば……3DダンジョンRPGってだけで好きな方面ではあるので、とにかく中途半端にならないことを祈るそんな気持ちです。